※このヒロインは異世界から来た子ですが、アリスとは全く異なる子で特殊な力を 持っています。

















今日はアリスと楽しく散歩をしている。

色んなお店を見て回っていたいた時、近くで銃声が聞こえてきた。


「この世界って…ほんっとに物騒よね……。」


「まぁ、確かにそうだけど……あたし達にはほとんど無害だし」


呆れたように呟くアリスにあたしが自分勝手な答えを返すと、アリスはため息をつい た。


「もぉ…………流れ弾がきたらって思うと心配にならないの…って、は平気よね…」


「もっちろん♪銃弾なんて避けるからね。……ま、もし当たるとしたら…」


「当たるとしたら?」


「大事な人を護る時だね。」



あたしがニコッとして言うと、アリスは一層深ぁいため息をついてくれた。


「ちょっ…なんでそんなに深くため息つくの!?」


「だって……ほどの運動神経あれば、護りながらも避けられるでしょ?貴女は 特攻隊じゃないのよ?わざわざ当たるの?


そんな自殺願望ないから。…う〜ん、突然そんな場面になった 時にいきなりヒョイッと抱えられないと思うんだよね、女の 子は別として。


「いや、普通は女の子もあり得ないからね!?は特別過ぎるのよ!!」


「………否定できないのがつらいトコだね」


そう。あたしはごく平凡とは言い難い、特殊な女の子。


普通の人とは少し(ってか、色々)ずれているトコロがあるのは承知の上だ。


やたら身体能力高かったり、いきなり怪力発揮したり……アリスみたいに平凡な子で はないから、難癖つけられることだってある(それでも襲われかけたりするから不思 議だ)。



……ま、そんな事をしでかした奴は大半、彼から痛い目に遭わされているのだが… …。


「でも、はスゴイね。そこまで護りたいって思うなんてさ…うらやましい。」


そう言ったアリスの目に皮肉の色は無かったので、あたしはへラッと口元が緩んでし まう。


「ありがと!……アリスのことも護ってあげるからね♪」


「あら。私はいつもに護られてるわよ?」


「そう?」


「えぇ♪」


…と、まぁこんな感じで、アリスとの会話のおかげで和やかな雰囲気があたりを包ん でいたのだが………また銃声の音がした。



「……ねぇ、。なんかだんだん近くなってない?」


「…確かに。……場所を」


「場所を移動しよう」。あたしがそう言いかけた瞬間、前方から誰かが飛び出してき た。


「え!」

「ッ!……ほぇ?」


「!!…………なにやってんだ、あんた等!?」



「「エリオット!?」」



いきなり飛び出してきたのは、エリオットだった。

あたし達同様、エリオットも驚いているみたいだ。


「なんでこんなトコにいんだよ!」


「なにって…買い物よ!エリオットこそなにしてるの?」


「お…俺は……と、とにかく!早くココを離れろ!!」


「え?何で??何かあったの?」


「ハートの女王の手下が襲い掛かってきたんだよ。危ねぇから離れた場所にいてく れ」



そう言ってあたしとアリスの腕を掴んだエリオットの手からは……血が出ていた。


「エリオット!?怪我してるよ!」


「あ?…あぁ、平気だこんなの。それより早く…」


「でも……痛くないの?」


「…平気だよ。心配しなくていいから…な?」


あたしが心配すると、エリオットはポンポンッと頭を撫でて、優しい目を向けてくれ た。








その時……茂みの向こうで何かがキラリと光るのが見えた。




「ッ!!危ないッッ!!!」



それが銃口だと察知したあたしは、反射的にエリオットの前に出た。






バンッ






エリオットを狙った弾丸はあたしの肩に命中して………、







あたしはそのまま意識を飛ばしてしまった。

























「…ぅ………ん」


心地良い日差しを感じてはゆっくりと目を開けた。




そこには帽子屋屋敷の自室の見慣れた天井と……、





至近距離にブラッドの顔があった。




「………」


「…………」


「……なんだ。起きてしまっt」









ドガッ














どこまでも君に憑いていくよ 文字通りこの身が朽ち果ててもね









「〜〜っ!い、痛いじゃないか…」



腹を蹴られた事で、ブラッドは非難の目をに向けた。


が、は全く怯んだ様子はなかった。


「気絶してる子の唇を奪おうとした野郎が何を言うかッ!蹴られただけで済んで良 かったと思いなさい!!」


「……いゃ、…普通ならビンタとかじゃないか…?」


「あたしは美形の顔は殴らない主 義なの。顔は駄目よ、ボディボディ」



「それは誉めているのか?というより、殴るんじゃなくてビンタだ! ……あ、しかし君のビンタは殴るも同然か…」


「うっさい!ってか、…なんでブラッドなのさ!さっきの展開からしてあたしの横に はエリオットがいるのがお約束だろッ!?」



「エリオットは風呂だ」



「は!?…何で?」



が不思議そうにしていると、ブラッドはクィッと口の端を上げた。



「奴のキレっぷりときたら……それは凄かったらしいぞ?君を撃った奴もしかり、他 の兵士も蜂の巣にしたらしい。その返り血を浴びたから風呂に入っているのさ。…… …君も無茶をするな」



やや呆れたようにブラッドがの肩を軽く叩くと、は微妙に顔をしかめた。


「…悪かったわね」


「謝るならエリオットに謝るんだな。あいつは私が来るまでずぅっと君に付きっきり だったんだぞ?」


「…………わかった」


が素直に言う事を聞くとブラッドはやれやれと肩をすくめた。


「全く……羨ましい事だな」


「??何が?」


不思議そうにが首を傾げると、ブラッドはの顎に手を添え、意地の悪そうな笑みを浮かべる。


「ククッ……色々だよ。…色々……な?」


「………変なブラッド」


「それはお互い様だ。……君は代用品がない体だ。死んだらエリオットの傍にいれな くなるという事を忘れないようにな?」


「………そんな事無いよ?」


「?」


「あたしは……」

















ブラッドがの部屋を去って少しするとエリオットは戻ってきた。



そしてと目が合うと、エリオットは何も言わずにを抱きしめる。


「…え、エリオット?」


「………」



が呼ぶと一瞬ピクリと反応したが、エリオットは抱きしめる力をさらに強 くしただけで黙っている。



「エリオット……髪の毛まだ濡れてるよ?かわかさないと風邪ひいちゃう…」


「………」


「…ねぇ、もう大丈夫だから」


「………………なよ」


「え?」


まだ水滴が残る鮮やかな色の髪にが触れていると、エリオットは不機嫌そうな目をに向けた。



「…俺の心配なんかしてんなよ」


「…はぃ?何で??風邪ひいてつらいのはエリオットだよ?」



「っ……… 少しは自分の心配しろっつてんだよッ!!!



エリオットが怒鳴ると、は目を丸くした。

怒られた事は何度かあるが、こんな怒鳴られた事は初めてだったからだ。




「心臓の上ぶち抜かれたんだ ぞ!?いくら丈夫なあんたでも死ぬ時は死ぬんだろ!?!

今だって痛いはず なのに何でそんなに普通にしてんだよ!!」




「……」


よほど怒っているのか、エリオットはもの凄く早口でしゃべる。が口を挟む暇さえない程に。





「俺ってそんなに頼りないの か!?俺はあんたが……が俺のこと庇って死んでも俺は嬉しくない!!

死んだらは俺の傍からいなくなっちまうだ、嬉しいはずあるかよッッ!!!」







エリオットは今にも泣き出してしまいそうな声をしながらも、を強く強く抱きしめた。


その姿をはジィッと見つめている。




「頼むから……俺をひとりにしないでくれよ」








「……しないよ?」



はあやすかのようにエリオットの頭を撫でながら、優しく抱きしめ返し た。





「…ひとりになんてしないよ?安心して…ね」


「…んな事、あっさり言って………。」



エリオットが疑い深げな顔をすると、はフッと笑った。




「おや…信用無いわね。大丈夫よ?絶対ひとりになんてさせないから」


「……そんな怪我ひっさげた奴に言われてもな…。」



「怪我?……あぁ、…もう治ってるよ」




「……………は?」



エリオットがポカンッとすると、は肩の包帯をスルスルと外した。




肩は……何事もなかったかのようにキレイサッパリ治っている。





「な……あ………えぇッッツ!?!何でだよ!?」



「フフフ…あたしは治癒能力が常人より 少し高いのよ!


「んなアホな!!」


「それと……エリオットが傍にいるからだよ」


「…は?」


「エリオットが傍にいるだけであたしは癒されるの…嘘じゃないわよ?」



「試してみる?」とか言って手首にナイフを宛がうをエリオットは当たり前だが慌てて止める。



「試すなッ!!」


「…冗談なのに。」


「当たり前だ!!!」


「……ま、とにかく。あたしは貴方の傍から離れないよ………と、いうか…さ…… …」


は少し間を置いた後エリオットの首に腕を回し、笑顔を向けた。







背後から若干黒いオーラを感じる笑顔を… …。





「どこまでも…あたしは貴方にについていくつもりよ?」


「……………本当に…どこまでも付いてきてくれるのか?」



エリオットはのオーラを感じとってはいたが、嬉しい事を言ってくれたので口元が緩ん だ。


しかし、何故かは不満そうだ。



「…エリオット。字が違う


「?は??何が…」


「…まったく……あたしはそんなに軽い気持ちで貴方と一緒にいるわけじゃないの よ?」


「いや……だから何が…」



「あたしは付いていくなんていってないわ。








『どこまでも貴方に憑いていく 』って言ったのよ」











「…………え"!?」




先ほどまで緩んでいたはずのエリオットの口元は……今、完全に引きつっている。



そんな恋人の様子も気にならないのか、は嬉しそうにしている。



「あ、でも安心して。付いても行くからね♪そう……たとえ火の中水の中銃弾の雨の中そして……


あ、風呂は遠慮するけど。」




「それは遠慮すんなよ」



エリオットは問題発言をしたのだが、華麗にシカトした。





「だから…安心して………あたしは幽霊になってでもエリオットの傍にいて あげる。







死んでも離し てあげないからv






「……ッ…。」







その時…エリオットは恐怖を感じるよりも何か心地の良いものを感じていた。



彼女、がここまで自分に言葉で愛情表現をしてくれたのが初めてだったからだ。


多少(というか、かなり)脅しともとれる発言だが、なりの愛情を感じ取ったエリオットは耳をピンッと立たせた。



「じゃぁ……俺も死んでも離してやらないからな!」



「ありがと♪……けど、エリオットの時計が壊れたらあたしがどんな手を使ってでも 蘇らせてあげるよ」



「……ありがとな。……愛してる」



エリオットが恍惚とした様子で言うと、もはにかみながら「あたしもよ」と静かに言った。










『『どこまでも貴方(あん た)に憑いていくよ、文字通りこの身が朽ち果ててもね♪』』




(嗚呼、俺幸せすぎて死んじまいそう…。)

(嗚呼、どうしよう……あたしバカップルまっしぐらだ(泣))






















≪おまけ≫




とエリオットが良い雰囲気になっている時、見舞いに来た双子・アリス・ ブラッドは部屋の前で入るに入れずにいた。


「……ねぇ、兄弟どうする?この部屋の外まで感じる甘ぁい雰囲気」


「なんか、無性にむかつくよね。ヒヨコあたまにお姉さんとられた事でさえむかつくのにさ……。」


「「…ウサギめ………あとで殺す!!(今はお姉さんがいるから諦めてやる よ!)」」


そう言って双子は目をキラッと輝かせ、それを見たアリスはため息をついた。


「ねぇ…ブラッド。あれ止めなくていいの?」


「良いんじゃないか?面白そうだしな。」


「…相変わらず適当ね」


「まぁ、強いて言うなれば………







私もエリオットのポジションが羨ましいという事くらいだな」





「……うわぁ、死ねば良いのに」







〜FIN〜